街について/Debby
 

 今更思うことなんだけど、朝目を覚ますっていいことだよね。目を覚ますために朝があって、眠るために夜があるとしたら、それはとても幸福なことで。例えば、ヴォツニアヘルツェゴビナって君がつぶやいて、なんだか素敵な響きだねってわかりあうみたいな。雨が降り始める前のあの空気に、わずかな高揚を嗅ぎ取るみたいに。厚く積み重なる茶ばんだ雲と揺れる窓ガラスの音に。

 酔いが訪れて、去って行ったあとに。祭りが終わった後、草むらに取り残された子供たちは、いつかそこに家を建てた。煉瓦の家と木の家、町の真ん中には噴水が作られた。そこだけが祭りの匂いを少しだけいつも残していた。春の季節は良かった。降り注ぐような桜並
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