遠回り/HAL
東の山肌の頂きが淡い桃色に染まる
その桃色は歩いて下るかのように
麓へとゆっくりと拡がるさなか
頂きは桃色に重なり橙色に代わり
その色に蒼と紫色が混ざる
そして麓も頂きと同じ色に染まっていく
だが西側の山肌は雪の真白(しんぱく)のまま
東の山肌に朝の色彩が訪れていることを
知らないままに純潔を保つ
やがて東の山肌は蒼と紫色を飲み込み
朱から鮮明な赤に代わる
東と西の美しい天才の画家でも出せない色彩の対比
天空からマッターホーンを捜すが
天空からは一度もその姿を視たことがないので
どれがマッターホーンかは分からない
だが生まれて初めて知る神々しいとは
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