椿の殻/Tシャツ
小学生の頃、僕の通学路には椿の垣根がず〜っと続く道があった。椿の葉っぱはびっくりするぐらい深い緑色をしている。僕はあまりに深すぎる緑の葉っぱは冬を越す為には必要なんだ。って思っていた。冬の椿はたくさん蕾をつけている。僕はいっつもその蕾を取って、一枚一枚、まだ出来上がってない花びらをむきながら帰った。最初は硬い葉っぱのようなものにくるまれているけど、どんどんむいていくと、どんどん柔らかい一枚になってきて、色もどんどん薄くなっていく。最後にはなんだかよくわからないものになって、僕はぽいっと捨ててしまう。一個むいても、まだ椿の道は続くから、もう一個取ってまたむき始める。自分を守るためには、かたい殻が必要なんだ。って思う。僕は小学生の頃は硬い殻の代わりに、誰にも本当の気持ちは話さなかった。それは心の殻なんだなって今思う。
心の殻はどんどん硬くなる
どんどん強くなる
傷つけばそのぶん硬くなる
大人になれば
もしかしたら心まで硬くなるのかもしれない
僕は今どうなんだろう?
だれか僕の心を学校の帰り道でいいから、椿の垣根が続く道で、一枚一枚むいてみてくれないかな。
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