路地を歩くメモ/オイタル
 
みたいに闇が薄れてきて、
砂利とか、花の小鉢とか、土の乾いた野球ボールとか
雑草とか丸めた鉄屑とか、浮き出してくるんだよね。
じりじり暑いし。
いろんなものが歩いてるし。
手のもげた人形だの、足のある若い幽霊だの。
後ろ足でたったドブネズミとか。
杉田さんとか。
どっかから来て、
どっかに帰っていくバイクの兄ちゃんとか。
とにかく いろんなもの。

もう二度と出会えないものに、
繰り返し繰り返し出会っているんです。
自分にだって出会える。
合わないメガネをかけて。
手ぶらのままで。

戻る   Point(2)