リアル/寒雪
ありもしないことを
口にするのをやめようと
二人で誓い合った時
時間を潰すだけしか能のない
つむじ風を追いかけて
無間の道程を思わせる
夢幻の都へと
二人は走る
目的地に向かって
少しでも近づこうと
長さの足りない舌を
懸命に伸ばして
その痛みが
ぼくらの間に
絆を与え続けてくれる
見えもしない永遠を
手に掴むのをやめようと
二人で空を見上げた時
ぼくらに向かって
無造作に背中を曝け出したまま
あちこちに笑いを振りまいて
行進を続ける希望や夢を
持ってた空気銃で
無惨に打ち抜いて
その夜
届くはずだったランプの光を
失って暗いままの家を
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