Like Someone in Love/Debby
 
で、バイクの調子はとてもいい。

 さて、祖父は一抱えのじゃがいもを鍋に放り込んだ。泥水ではあったけれど、芋は茹で上がった。なにせ空腹だったから10個でも20個でも食える気がしたんだ、と彼は言った。でも、一個だって食べられなかった。どんなに腹が減ってても、塩がなけりゃ食えない。生きるためには塩が要る。いいか、それを忘れるな。うん、わかったよ爺ちゃん、忘れないようにする。おまえは賢い子ではないし、愛される子でもない、そういう風になってしまった。だから、これだけは忘れずに生きろ。わかったよ、爺ちゃん。いいか、深く潜る魚が優れた魚ではない、高く飛ぶ鳥が優れた鳥でもない。忘れるな。塩がなけりゃ食えない
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