名のみの春/
朧月
よく思われたいからか
肩がこる
からだに何枚も皮膚ができる
できもしないのに
できます
という顔をする
顔がこる
並んでしまう
ほしがっている
みんな という札の順番待ち
ぺらりとめくる
いちまい いちまい
脱いでしまえ
この朝に
冷たい朝に
寒さで指先が白くなったよと
祖母が手のひらをみせる
しわが集まったその手は
まぎれもない
祖母の手のひらだ
共に手に触れ合って
今日の温度を知る
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