山中/灰泥軽茶
 
目を開けても閉じても闇の中
空の高い所で星が輝いている
百均のペンライトを再び点灯し
川沿いを降りていく

もういくつめの滝だろうか
雪解け水が勢いよく流れ落ちていく
擦り傷だらけの身体で
山の斜面を上がり木の幹や根づたいに
滝を横切りまた川沿いに降りていく

しかしあと1メートルほどで足場がない
何も考えられずに時間を過ごし
仕方なくザックにできるだけの
衣服を詰め込み放り投げ
私は川に飛び込みすぐ着替える

もういくつめの滝だろうか
今回の滝が一番大きい
轟音が鳴り響く
吸い込まれそうな誘惑に怯え
ここで野宿すべきか
大きな石の上で力尽き
ぼうっと
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