遅れし弔辞/HAL
 
あなたはぼくが広告界に入ったときに
すでに殿上人かのような女性でした

しかしあなたが階段を昇られる時代は
男性が重で女性が軽のときのはずでした

でもあなたはその類い稀なる才能と努力で
自分の力だけで階段を昇りつづけられた

でもあなたはその辺の男女同権などをキーキー声で叫ぶ
フェミニスト運動を支持する愚かな人間は眼中にないようでした
その運動そのものが女性差別だと想われているとぼくは感じました

なにかを叫ぶ暇があったら誰かより本物の力を身につけなさいという
その毅然さにあなたの心の言葉が表現されたすべてから
ぼくにははっきりと聴こえてきました

あなたの残し
[次のページ]
戻る   Point(4)