三月某日、雨の翌朝/
あ。
飛ばされたまつげを探していたら
足元に春が落ちていた
あぜ道にはなずな
不規則に並び、ゆれる
隙間を縫うように細く流れる水、
昨日降った雨の名残だ
まだ小さな双葉にしずく、
その中にだって、
閉じ込められている
まつげは結局見つからなかったので
蹴飛ばしかけた春、を
少しちぎって持ち帰った
戻る
編
削
Point
(6)