ギター弾きの想い人/まーつん
俺のテレキャスターは
どんな女よりも
艶っぽく喘ぐ
だから
要らないんだ
柔らかくて暖かい
夜の女の 肢体なんて
俺のテレキャスターは
どんな鳥よりも
美しく鳴く
だから
要らないんだ
窓際に吊るす鳥かごや
ガラス越しに射してくる
朝陽なんて
墓石のそばで丸くなり
喉を鳴らしてネズミを食べる
薄汚れた 野良ネコのように
本物のギター弾きは
どんなところにいても
自分なりの 慰安を見出す
そいつは 状況に漂う
詩情を捕まえる 感性の狩人だ
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