鉄の裁鋏、蝶番/高濱
 

貫通の血塗れの襯衣よ。縫閉じられた瞼が
再び世界を、古典力学の暗闇を、
忽如、顛倒せしめる為に。花崗岩の石墓、
その雲母石の漆黒の列が、
私を引摺り、逼迫する。
プロテスタントの宗教理念が、
抽象主義の、懸架された十字を
概念化させる。
私は在るゆえに私は在り、
中芯点を求めるもの、又、
膾炙された純粋の球体を未完の卵形として、
螺旋画く翼の堅果の、
静物画を試み、
飛花粉の雀蜂の脚、蜂蜜の壜詰に匙を差込む。
戻る   Point(3)