冬の海/乱太郎
 
               
季節の足跡が白い凍土となり
剥がれた絵の具のように
海鳴りが景色に仕方なく張り付いている

此処には君はいない
それでも此処は君のいた場所

今日君はいない
それでも昨年君のいた場所

遠くから
鴎が

銜えているのは僕の明日
太陽が拾ってくれた
冬の海
そして君

固い季節の汽笛が水平線をなぞり
無人の冬の海に停車する
降りてくるものはいないはずだが
もしかしてと
胸に十字架の祈り

冬の海に消えた足跡
そして
夕焼けに焦がされていく想い出

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