ひとり旅/凪 ちひろ
本当に欲しい物を 手に入れる旅に出かけよう
必要な物だけ鞄につめこんで
きみは ひとり 旅に出る
大きな山脈も 美しい谷川の水も
たくさんのビルも 小さな村も
まるで どこかで見た景色
歩いていく その先には 何か見たことない物があるかな
きみは気づいていない
感動する心が眠ってしまっていることを
歩いて 歩いて たどり着いた
古びた小屋の中には
一人横たわる老婆がいた
もう 最期のときが近かった
「なぁ 旅人さん
わたしの 最期を看取ってくれないか
子どももだんなも 何十年も前に
流行り病で逝ってしまった」
どうせ気ままな ひと
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