夜のサーカス/灰泥軽茶
一晩中明かりを灯した
商店街を
滑らかに自転車で走り抜けていくと
にょきにょき電信柱
わさわさ揺れる電線が
いつもより多い気がする
見上げれば
夜のお化粧をした女性たちが
ピチピチの衣装をまとい
ヒールのかかとを電線にひっかけ
滑るようにアクロバティックに
宙を舞い消えていく
ゴミ収集車が唸りを上げて
やってきたかと思えば
ライオンやら虎が飛びだして
ゴミをむしゃむしゃ食べている
向こうの方から
酔っ払いの人達が
わいわい喋りながら
一輪車に乗って得意げに
ふらふら
ふらふら
こちらに向かって走ってくる
当たらないように
すいすい
すいすい
商店街を抜けると
そこはどこかの住宅街
振り向けば煌々とした
シャボン玉がたくさん
夜空に向かって飛んで
花火のように弾けて
鮮やかな花火の雨を降らしていた
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