春愁/yo-yo
 
もうひとつの冬へ帰る
小鳥は脚に
小さな赤いリボンをつけて
少年の手を飛びたつ

椿の木から木蓮の木へ
ためらいもなく羽はうつり
空の色に
吸い込まれて消えた

手のひらに残る
小さな心臓の温もりと鼓動
饒舌だった庭がいま
さみしさで震えている

椿よ木蓮よ木よ

はやく赤いリボンをつけろ
そして舞いあがれ空へ
さみしさの羽に
もういちど触れてこい





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