川柳が好きだから俳句を読んでいる(5、前原東作のこと)/黒川排除 (oldsoup)
 
には彼を病気が襲い、入院してしまい、あろうことか入院生活のあれこれを俳句に盛り込んだのだ。これはおれの嫌いなパターン、病気自慢のクソ老人のパターンである! と、思われた。ところが彼はそれらをまったく煙に巻いてしまった。どうしたか?

 煙草やめないぞ 噴火やむまで 雪に埋まるまで
 肺癌はよし食道癌もか今年の天の邪鬼め

 病気そのものをクソ扱いし、かたわらに置きながらもまったく無視する、その様子を俳句に盛り込んだのである。病気と入院の様子を描くほとんどの俳人が、まったくほとんどの、九分九厘の老俳人が、うちの死んだじいさんもそうであったように、病気に弱るじぶんを儚い枯れ木と見立てて風雅を
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