アグルーカ/
飯沼ふるい
毛布団の惰性に蝕まれ
アグルーカ 貴方の死は
どれほどの価値を
見知らぬ人生に捧げられたのか
灰と氷の足跡が
極北の襞に刻まれた時
有限された時間は
未来を標榜することなく
凍傷のように肉を外界へ堕胎する
アグルーカ 貴方の尊さとは
そのようにして
世界に記憶されることなく絶たれた
生の残像 ほんとうの孤独
私、贅沢な荷物
「アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極/角幡唯介」
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