アグルーカ/飯沼ふるい
 
アパート、贅沢な荷室

惰性の中で想われる 知らない人
知った風に 想われる人

私、贅沢な荷物

腹を空かせ、吹雪を想うひと時
 空は曇り/乱氷帯・ぬかるみ・吹雪・川
語彙と眼球との狭間に置いていかれた
色みを想うひと時

誰のものでもない 私の孤独を
傍観し 記憶し
捨てきれない自我の為に
誰かの暮らしに渇いている

知らない人 呆れるほど数多く
それら人生と呼ばれる石ころ全てを
展望、望、呆。

さて、アグルーカ 貴方の死は
私の消費の為には存在しないはず
だが、アグルーカ
貴方は傍観され、記憶され
無数の夢と共に滅び
ぬくぬくとした羽毛布
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