川柳が好きだから俳句を読んでいる(3、赤尾兜子のこと)/黒川排除 (oldsoup)
グサである。俳句がこれまで作り上げてきた優美なメロディー、花鳥風月の美しいうつりゆく季節その気高さの真横で平然と和太鼓を打ち鳴らすかのような強引なリズム。それゆえ、この単語は異様に目に焼き付くのだ。
ガソリンくさき屋上で眠る病身の鴎
ささくれだつ消しゴムの夜で死にゆく鳥
こちらは病んだ鳥・死んだ鳥の句である。鳥と死ぬことに何らかの可能性を見出していたのかもしれない、いやこの二句だけで判断するのは早計かもしれない、全体としては動物に対して死を押し付けている印象がある、それは人間よりもという意味合いでだ。人間はむしろその死の立会人として出てくる場合が多い。そういえば先ほどのトート
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