輪郭/
三田九郎
ひさかたぶりに日を浴びた
しわがれた藁半紙の香り
言葉が輪郭を失いそうだ
雨音が遠くに延びる
鏡を見ていると危うくなる
手のひらで骨格に触れてみる
わたしはこの形状で
外縁で保たれているのか
手元からレシートが飛んだ
何百円の買い物の記憶も飛んだ
記録しないと忘れられちゃうものなんか
忘れられてしまえばいい
捨てられた新聞紙は風を浴び
路面を淋しく転がっていく
時代に輪郭などあるのだろうか
雨音に包み込まれる
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