代理睡眠/たもつ
 
 
 
栞の代わりに挟んでいたミルクをこぼして 
僕らはどこまで読んだかわからなくなった 
立春が来たことに気づかないまま
掃除を始めた人たちみたいに
ひどく狼狽えた気持ちになった 
輪郭の無い円を描き真ん中に立つ
自分を踏みつぶさないように
無色透明のインクで塗りつぶしていく
ノイズだらけの地図を指で辿ると
知らない町で生まれたばかりの
クジラの履歴書が郵便受けに届く
疲れたから少し寝ようか
そんな一文で終わるページがある
今度目が覚めたら遅いランチを食べて
ミルクを買いに行こうね
大切なことが大切でなくなるまで
二人の名前を書いて遊ぼうね
 
 
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