詩と科学 詩と向き合う/葉leaf
飄然(へうぜん)と家を出(い)でては
飄然と帰りし癖よ
友はわらへど
(石川啄木『一握の砂』より)
PV=kT(ボイル=シャールの法則、Pは圧力、Vは体積、Tは絶対温度、kは定数)
上は短歌であり、下は自然科学の法則です。この二つを比較しただけでも、詩と科学は全然違うのではないか、という直感を抱くのに十分でしょう。
まず、自然科学の対象は何か。それは、私たちが生活で出会う生の具体的な経験ではありません。自然科学の対象は、時空間に関係づけられていて、数量化・抽象化される、何度でも再現することのできるものです。V(体積)とは、空間の抽象的な量であり、数字で表され、例えば1
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