駄作/
三田九郎
子規は三十五で死に
二万句を書き
どれもが粒ぞろいだったという
病苦を記した散文を読むと
いたたまれなく 苦しく そして
生きる には濃度が 密度があり
濃淡があると思い知る
僕の思案はいつもとりとめもなく
薄く 淡く
同じ場所を周回している
僕は三十四で
ふいにひとつ ふたつ書き
どれもが駄作
でも 悪くはない
自分は何者でもないと
思い知るには
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