僕の景色の中を/和田カマリ
 
潅木を編んで作った毬に
緑色の毛糸が絡まっている
そいつが風に遊ばれて
砂埃を上げながら
僕の景色の中を転がって行く

「どんな人間も不幸なのだ。」

ほんとうに
あの人も
あの人も
ほんとうに


疑わないよ
心の支えだから

幸せそうな人の
不幸になる瞬間が
なによりの慰めだ
心から落ち着く
虚ろ
虚ろ

だけど
最初からみんな
幸せじゃなければ
もう誰の不幸も
望むことはない

幸せそうな人達よ
あなた方は不幸ですか
ほんとにそうならば
僕はうれしいよ

みんな不幸
みんな不幸
ああなんて
平等な世界なんだろう

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