こころメッタ刺し/
左屋百色
わたしがわたしに出会った日
風が吹いていたかなんて
憶えちゃいない
詩人じゃあるまいし
ただ胸の痛みに耐えかねて
指を切った記憶がすこし
わたしがわたしに出会った日
花の中で虫は死に
景色を変えていた
だからなるべく新しくない言葉で
詩人であるわたしは
詩人であるわたしとたたかって
27秒で負けたのです
胸の痛みはないけれど
手と服と机と紙に血がすこし
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