ホテルドランカー/ブライアン
はずだった。友人に電話をかけて確かめようと思った。彼は仕事中。もしくは、眠っている。
地下街の構想を語る政治家が街頭で演説を図る。ラーメン屋でデートする高校生のカップル。誰にも届かない声なら、耳元で囁く、恋人同士の方がはるかに建設的だと思う。
彼らは互いの肌にも触れない。
ここのラーメンは高い。駅前ならそんなとこだよ、と知った風な部外者たち。指揮棒をふるう男。
賭博で儲けた客が、千円札を握りしめて、餃子を食べている。餃子もラーメンもほどほど。思い出よりは高いしまずい。
かつて、と語りだすものは多く美化される。かつて、と宣伝する東京は、毎日通うほどじゃない。ここで生まれたなら。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)