老人/ビル
紙のノートは もうずいぶん廃れた
人はみな せわしなく 固い画面をなぞる
いきなり ぶつかってきた 人
わけもわからず 怒鳴られた 僕
空はこんなに青いけど 街はこんなに角ばって
嫌いだったカラスの鳴き声が どこか懐かしい
未来から人は来ないし 過去からもそうだ
終わることは確かだそうで 試すわけにもいくまい
何か変わったと 思い込んだだけ
明日も人は死ぬだろう そこに感情はない
海はこんなに広いから 僕はひとりで泣いた
ぐったりと疲れて 赤子のように眠った
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