老人/ビル
 
紙のノートは もうずいぶん廃れた
人はみな せわしなく 固い画面をなぞる

いきなり ぶつかってきた 人
わけもわからず 怒鳴られた 僕

空はこんなに青いけど 街はこんなに角ばって
嫌いだったカラスの鳴き声が どこか懐かしい


未来から人は来ないし 過去からもそうだ
終わることは確かだそうで 試すわけにもいくまい

何か変わったと 思い込んだだけ
明日も人は死ぬだろう そこに感情はない

海はこんなに広いから 僕はひとりで泣いた
ぐったりと疲れて 赤子のように眠った


戻る   Point(1)