各駅停車で、春に向かう/るるりら
 
この私のせいだ
霊力が ひとけを避けさせたのだ そんな私だが
春のたびに 体が 八雲さんを思うて その温かさに あつうなり
思うほどに
喜びで この身は ゆるんでしまう

すっかり消え果てて しかしまた 
冬が近づくと
あのアパートで 息を吹き返す 
私の正体は雪女
わたしは いつしか春がスキになってしまった雪女

冬の間は いそがしい
春が遠い日は、各駅停車で
あの人の面影を探す
米軍とやらが 最近 また この沿線に増えてきた 
うれしゅうてならぬ お会いしたや八雲さま
あの席の おひとなどは まさしく八雲さまではなかろうか
こん
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