ビルの間のバカものよ/番田
無職の僕は銀色の街の中を
そそり立つ 真冬のビルの間を
静かに歩いていた
右手には 履歴書
左手には 間違った情熱を抱いてた
新宿は暖かな街だったが
今日は少しばかり寒すぎたようだった
そして僕は歩いていた
なぜ辞めちまったのか
びた一文 与えられるわけでもなく
一人 アルタ前の電光看板を目指してた
灰色の西新宿の小道の僕
だけどどんな答えが待っているのだろう
ぼんやりと 街路樹の道を
車の中のストレンジャーの顔をして
僕は ガムを噛みしめながら 歩いていた
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