桃色の泡を吐き出す世界ではみどりの魚も赤く熟した/木屋 亞万
 

雌豚が褒め言葉へと変わるほど立派な豚を育てるお仕事

ぎぃぎぃと頭がなって髪の毛が開かない扉の重さで締まる

もう明日が来ませんように何度でも祈るさ自我は自壊したから

理不尽な社会という名の急行を降ります鈍く行きたいのです

愛情が大事な材料だったことファーストフードにまみれて気付く

駅にまだ僕だけにわかる恋の香が残っています鼻腔泣きます

繋がって泳ぐ魚に降る雨と桃色を吐く墨絵の窓辺

雑貨屋で売ってるタイプの小物ですときどき小心者になります

「舐めるのがやめられなくて…」ぺろぺろと上白糖を舐めていた君

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