メランコリックな午後/kauzak
雨が降り出しそうだ
湿気が高くて汗が滲む
君は刺繍をしている
憑りつかれたように
黙々と針を動かしている
時計だけが
雄弁に時を刻んでいる午後
右肘の古傷が疼いている
僕には何もすることがない
肘の痛みに囚われるばかりで
飛翔なんてできないことを
実感してしまったのは
いつだったろう
現実が身体に染み込んで
僕と切り離せなくなって
夢は夢でしかなくなったのは
雨が降り出したようだ
君が慌てて窓を閉める
僕もつられて席を立つけど
するべきことが何もない
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