もう一度/文字綴り屋 ひじり
 
何と言う卑怯さだ
何と言う傲慢さだ

だのに
だのに
俺は泣いている
だのに
だのに
私は泣いている

それは俺の中に奴がいるから
それは私の中にあの人がいるから

記憶の彼方の
俺を肩車してくれた思い出が
記憶の片隅の
私の頭を撫でてくれた思い出が
俺の中の憎しみを
私の中の悲しみを
解放の激流へと導いていく

幼かったあの頃に戻って
もう一度 呼んでいいですか
お父さんと
幼かったあの頃のように
もう一度 呼んでいいですか
お母さんと


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