雪迎え(2)/ブライアン
 
この場所で生きていくものだと信じていた。高校を卒業すると、大学でいわき市へ行った。大学を卒業すると上京した。初めて帰省した時、国道四号線を北上した。北へ向かえば若返るものだと思って。夜中、玄関口で祖母が出迎えた。彼女はどちらさまで、と尋ねた。孫であることを証明するため、フルネームを祖母に伝えた。

 卒業式、雪はまだ積もっている。同級生と一緒に新潟まで出かけた。トンネルをいくつも越えて、何曲もヒット曲を流した。国道一一三号線を西へ向かい続けた。みんな大人になろうとしていた。誰よりも早く大人になろうと必死だった。
 大声で歌を歌いながら、それぞれがそれぞれの道を進むことを躊躇っているのが分かる
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