2013年の雨/yamadahifumi
雨が降っていると
みんなは傘を差した
だからって、雨は傘を憎んだりはしない
雨はただ、降っているだけ
忙しいサラリーマンはタクシーを降りると
天を見て、チッと舌打ちした
そして、小走りで駅構内へと
入っていった
その時、同じ雨は
メキシコの作物に潤いを与えていた
その作物は、この夏に
何万人かの命を救うのかもしれないが
雨が降っていた
誰かが僕の肩を叩いた
僕は振り向いた
それは見知らぬ誰かだった
世界の上には
雨が降っていた
人間はその為に、大きな傘を作った
人間全部が覆えるくらいの大きな傘を
だけど、雨はやっぱり
のほほん顔で降り続けていた
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