ヒュプノスの眠り/凪 ちひろ
 
走って 走って 走って行く
走った 走った その先に
何も見つからなくて
途方に暮れた女の子

走って 走って 走って来た
走った 走った その道に
何かを落してきたの?
そっと振り返る女の子

女の子は いつの間にか
女性と呼ばれるようになって
そぐわない 化粧と服を
ピエロのように 被っていた

愛される前に 愛そうとした
言葉の刃には 笑顔を返そうとした


走って 走って 走っていた
走った 走った あの夜に
何もかも投げ出して
逃げてしまえばよかったの?

走って 走って 走っていた
走った 走った あの日々に
何か意味を見つけたくて
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