童話 旅のうさぎ/光冨郁也
 
うさぎは、町の喫茶店で地図をひろげていました。海を見に行きたかったのです。海は町はずれの丘を越えた先にあるようです。
アイスコーヒーを飲みほすと、うさぎは外に出ました。帽子を深くかぶります。自転車に乗って走ります。今日のために、バイトして買ったスポーツタイプの自転車でした。
うさぎは元気いっぱいペダルをこぎます。背中にリュックを背負い、太陽の光をあびて。長い耳はアンテナのように立っています。
夕方になり、ようやく町のはずれにつきました。自転車を降り、標識を確かめます。
右手が「森」、左手が「荒れ地」です。リュックから水筒を出して、スポーツドリンクを飲みました。

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