点のよるに線上/鯉
缶の中身をすべてひっくり返して
その目が見えるようにした
盲いた彼女の口紅を代わりに塗って
嫉妬されるために
白線は死骸だった
共通的な瞼を埋め立てて
その上をランナーの汗が踏みつぶすから
金髪に混じって火葬に参列した
火葬は中心に死骸を当てはめた形で
雨の降りしきる中を埃が走り抜ける
水を泳ぐ蛇のように
納棺されていく
遠くで萌える花を
窓越しで見ていたが
花の地獄は清まらず
ぼくは花を口ずさむ
赤い髪のむらさきを
じっとなでた
火は乾いて小さくてなにより重い
口紅を携えた
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