アイドラトリー/水瀬游
痛みも何も無いのなら
右腕も左腕も
ちぎり飛ばしてもらおう
シンプルになった僕は
初めて貴方に会いに行ける
だから 両の脚は残しておいて
そのとき貴方は一人ぼっちで
不自然なほど綺麗な部屋にいる
いつか貴方に会えたなら
余計な部位は自分から
削げ落ちていくことだろう
世の中の全てを咎めるような
その眼で見つめられたとき
やっと手土産を差し出せる
ここから見える物は
全てあげよう
叩き割ってみても
切り崩してみても
燃やし尽くしてみても構わない
好奇心の向くままに
貴方の好きにしてみては
もとよりどうせ
大した物ではないのだから
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