別れ話/月形半分子
 
別れ話



蜜のかおる若々しい花を燃やしている少年の手は
今からはじまる喪失の時から汚れはじめる

ありもしない空を鳥が飛ぶから
銃声はなるのだ
何故と問いかけてはいけないと
いっそう美しい顔をして別れ話を言う人よ
心地よく花が燃えてしまうから
別れ話に愛は深まってゆくね

燃える花から銃声がはなたれ
深まるのは愛ばかりではないと
撃ち抜かれた鳥が雨のように血をふらし
空ではない場所を飛んでいく

静かにと言われ、マッチ箱は灰色のなかで
一人、からっぽになる


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