わずらい/月形半分子
ああ、これは病気でござりましょうか
寒いばかりの夜な夜な、炊くアルミ鍋は
今日も明日も貧しい菜を煮るだけでして
月がでようが、隠れようが
見ているものひとりいないときたら
これはもう
お念仏の聞こえる夜のようなものでして
わたくしはひとり東北弁で
どうにもなんねぇじゃ
と泣いてみたくなるのでございます
今は、睦月でございますね
弥生はまだ先でございますが、
桜の花が咲きましたなら
わたくしは、焦げた、最初は誰の持ち物だったかもわからぬ、でこぼこだらけの、穴があいていないというたったひとつの理由だけで、用をなしている、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)