わずらい/月形半分子
 
ああ、これは病気でござりましょうか

寒いばかりの夜な夜な、炊くアルミ鍋は

今日も明日も貧しい菜を煮るだけでして

月がでようが、隠れようが

見ているものひとりいないときたら

これはもう

お念仏の聞こえる夜のようなものでして

わたくしはひとり東北弁で

どうにもなんねぇじゃ

と泣いてみたくなるのでございます


今は、睦月でございますね

弥生はまだ先でございますが、

桜の花が咲きましたなら

わたくしは、焦げた、最初は誰の持ち物だったかもわからぬ、でこぼこだらけの、穴があいていないというたったひとつの理由だけで、用をなしている、
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