冬の記憶/そよ風
曲がり角を曲がらなければよかった。
記憶の波にのまれてしまう。
3.2.1.
元町から中華街の何気ないみちで、
「一生、君だけを好きでいるよ。」と言っていた君。
子供みたいな目をして
そんなのありえないって思ったけど。
ちょっと浮かれた。
墓地を一気に駆け下りて
もう閉まってるお店を全部覗いて歩いたあの日。
もう遠いむかしの事で、とっくにしまった記憶。
こんなに大事にするとは思ってもいなかった記憶。
名前を呼ぶ声も
手の温度も
もう、忘れてしまった。
大切にしまっていたのに
色褪せたて
角がとれて丸い記憶。
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