詩2編/月形半分子
ポッポッポッポッ朝が蒸気のように空までいかずに消えていく
「わたくし、打たれれば打たれるほど出る杭ですが、」
建築現場。鉄、木、石、紙、あ、コンクリート。あ、ガラス。あ、ガラス。
上から物凄い機材で鉄の杭が打たれていく。重い。重い。
空に虹が出るように、地面で割れたガラスが乱反射している。けれど誰もそれには気づかない。
杭を打つのにみんな、必死だ。杭もたくましい。たくましい。
わたくし、打たれれば打たれるほど出る杭ですが、それが何か?
杭が打たれるたびにそんな生意気な口を聞く、そんな想像をしてみる。
建築現場では人の声がよく聞こえる。上からふってくる人の声はちょっと不思議だ。
まるで、鉄が、石が、木が、紙が、会話しているみたいだ。あ、ガラス。あ、ガラス。
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