病院にて/吉岡ペペロ
る心であるような気がした
人間は個体だ
個体であってひとりではない
個体は関係のなかでトラブルを起こし
個体そのものにも故障が生じたりする
いまさら法則なんて掴もうとは思わない
法則なんてない
法則とはものまねのようなものだ
この宇宙から生じている法則めいたものの
ものまねのようなものが法則と呼ばれているだけだ
CT検査の被曝量はどんなものだっただろう
会社から緊急の電話がありトイレでかけ直した
髭をはやした医者がこんなところで電話をするなと声を荒げた
このおっさんは物の言い方の大切さを教えにこんなところに来てくれたのだ
たぶんそうだ
この世界に深い意味があるとすればたぶんそういうことだ
病院に入って3時間以上たっていた
急患でいれてもらったから最後になるのだろう
私がいてもいなくても世界は回っている
晴れから雨に、平和から紛争に、好況から不況に
愛から無に、笑顔から泣き声に、ぐるぐるぐるぐる回っている
そしてぐるぐる回るたびに法則めいたものが生じて
誰かが何処かで後だしジャンケンをしながら私の名前をさん付けで呼んでいる
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