木は孤独だろうか?/すみたに
 


 学芸会をやることになった。先生が教室に入ってくるなり、明るい表情に、楽しげな声調で言った。「笠子地蔵をやることになりました」と。俄かに教室は騒がしくなった。誰でもそうだが、人が集まるとこういった凡庸な事柄で騒ぎ立てたくなるのは、全く子供の時からの習性なのだろうか。
 結局配役は次々と決まっていく。とりわけ人気なのが、笠地蔵の一団である。台詞は少ない割に目立つ役だからである。そして、どうせ目立ちたいなら主人公夫婦をやればいいものだが、これが誰もやりたがらない。ましてや男女のどちらかが先に決まってしまうと、阿呆が囃したてるのだから厄介だ。初めは順調に決まっていた役割だったが、最終的に七つの
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