樹化/すみたに
 
。葉脈だって刻まれている。僕の肉体は桜の樹皮のように光沢が出ている。臍も乳首も、なんだか木の瘤や目のようだ。気づいたら僕は動くことを忘れ、考えることも忘れ、維管束の中を流れる液体の存在も感じなくなる。完全な眠りに就く。

君は僕が目覚めるまで待っていてくれるだろうか? わからない、君は答えない、でも僕は信じるしかない。僕は孤独だから木になったのか、どうなのか、ねえ、答えてくれよ。誰でもいいから、僕の体に尿をひっかけるそこの野良犬だっていいから!
美徳がよろめいている、夕陽が水平線で揺らめいている。背後に伸びる影は何時も一つ、木になったって何時も一つ。僕はどこにも生えていて、どこにも生えていな
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