豆乳いろ/まきしむ
『豆乳いろ』
� はじまり(道)
一月の晴れた朝
来なければよかったなあ
凍りついた道に蒸気
植物みたいな街灯がにょきにょき連なって
私、しゃがんだりたったりしながら
小さな男の子がこっちにきたりあっちに行ったり
うろうろするのをながめてた
にぎったじょうろがきらっとし
ポケットの中のお菓子のかおりが
鼻腔にまだ残っていて
ぶらさがった手足が
もういらなくなったのかなあ
� 逃避(土手)
何かしていなくてはいけないのか
でっかい雲が流れている
その端にすがって
隣国まで飛んでゆきたい
それは無
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