怪奇 うさぎの大福大脱走/凪 ちひろ
夜明け前の6時、トイレに行った凪は、喉もかわいていて、
台所にお茶を飲みに行った。
すると、カサカサカサカサと耳慣れた音が聞こえる。
ハッとしてリビングに飛び込むと、そこには大福がホタホタと歩いている姿が。
唖然としてゲージを確認すると、ゲージにふたをしてある木組みの箱が落ちて、
すっかり出入りできる状態になっていた。
夜中に脱走した模様である。
一体いつから脱走したのだろう、
何かかじっていないだろうか(何もかじっていないわけはないのだが)、
と思いながらひとまず大福を小屋に入れることにする。
「大福! 大福!」と叫びながら追いかけるが、
そもそも寝起きの凪が、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)