六番目の指/
月形半分子
庭に落つまだ新しき抜け殻は夜間飛行の孤独かたどり
未開の地鉄線伸びいく開拓史月の先住民保存せよ
日本の古くて暗き引き出しを覗けばなかにいる死刑囚
夏祭り流し踊りの白粉の細きうなじは母のものなり
司法とは雲ひとつなきマドリッド修道院の奥まりし窓
その農家姓を田畑と名乗りおり美しきこと子の名は雪子
情熱の美しき国スペインは血色纏いて白を愛しむ
人気なく蜘蛛の巣古き軒先に訪ない告げる原爆忌
今日もまた悲しき顔の電気椅子向かいの椅子に天使が座りて
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