車窓の詩/すみたに
 


車窓はいまだ固まらず
七三キロにえぐられる
ぐにゃりぐにゃりと 鐘がなり 
平たく 延び縮みした思いが
頭をぶちつけ 眼より飛ぶ
まどろみからはみ出す黒枝の
茂みの青い光をかきむしる

車窓は細かく毛羽立って
黄色い鉄路のひまつは
綿毛となって風塵と舞い
過ぎゆく景色に垂らされて
朱色の長手が放していく
黙読の、カラリとした声
カラリ カラカラ、懶惰な響き 

強引に 運ばれる絵筆が、こすれ、
繊維の粉末が薄く積もった
透き通る耳が砕け落ち
燦爛とした――
電車の揺れに合わせ
翻る、陽光がつり革を潜り
空いた座席に影を踏む

隣で幼子が視線を
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